「目の色だけか?」
その目を見ろと言わんばかりに、今にも鼻と鼻がくっつきそうな距離まで顔を寄せて奴が問う。
しゃあしゃあと述べるその顔をじとりと睨んでやっても、相変わらずの無表情。さすがツラの皮はナイトメアの殻より厚い。
「…あんた、いつも訊くよな」
分かりきってるくせに、と不満げに呟いてみせれば、奴はにやりと笑う。
「言葉で聞きたい事もあるだろう?」
「へえ、あんたもそんなカワイイ事思うわけ」
言い終わると同時に、ちゅっと唇を掠め取ってやる。
そう来ると思っていなかったのか、少し驚いた色を浮かべる薄いブルーに、
「でも言わない」
今度は俺がにやりと笑って、その場を離れた。

残念だが俺はそんなにカワイくないんでね。